多段垂直タービンポンプの軸方向および半径方向の負荷バランス機構
1. 軸力の発生とバランスの原理
多段式 垂直タービンポンプ 主に 2 つのコンポーネントで構成されています。
● 遠心力成分:遠心力による液体の放射状の流れにより、インペラの前面カバーと背面カバーの間に圧力差が生じ、軸方向の力(通常は吸入口に向かう力)が発生します。
● 圧力差の影響:各段にわたる累積圧力差により、軸力がさらに増加します。
バランス調整方法:
● 対称的なインペラ配置:両吸い込みインペラ(液体が両側から流入)を使用すると、一方向の圧力差が減少し、軸力が許容レベル(10%~30%)まで低下します。
●バランスホール設計:インペラの背面カバーにある放射状または斜めの穴は、高圧液体を入口に戻し、圧力差のバランスをとります。効率の低下を避けるために、穴のサイズは流体力学計算によって最適化する必要があります。
● リバースブレード設計:最終段にリバースブレード(メインブレードの反対側)を追加すると、逆遠心力が発生し、軸方向の荷重を相殺します。高揚程ポンプ(多段垂直タービンポンプなど)でよく使用されます。
2. ラジアル荷重の生成とバランス
ラジアル荷重は、回転中の慣性力、液体の動圧分布の不均一性、およびローター質量の残留不均衡によって発生します。多段ポンプでラジアル荷重が蓄積されると、ベアリングの過熱、振動、またはローターのずれが生じる可能性があります。
バランス戦略:
● インペラの対称性の最適化:
o 奇数と偶数のブレードの組み合わせ(例:5 枚のブレード + 7 枚のブレード)により、ラジアル力が均等に分散されます。
o 動的バランス調整により、各インペラの重心が回転軸と一致するようになり、残留不均衡が最小限に抑えられます。
● 構造強化:
o 剛性中間ベアリングハウジングは半径方向の変位を制限します。
o 複合ベアリング(例:複列スラスト玉軸受+円筒ころ軸受)は、軸方向荷重とラジアル方向荷重を別々に処理します。
● 油圧補正:
o インペラクリアランスのガイドベーンまたはリターンチャンバーにより流路が最適化され、局所的な渦と半径方向の力の変動が減少します。
3. 多段インペラにおける荷重伝達
軸方向の力は段階的に蓄積されるため、応力集中を防ぐために管理する必要があります。
● 段階的なバランス調整:バランス ディスクを設置すると (例: 多段遠心ポンプ)、軸方向の隙間の圧力差を利用して軸方向の力を自動的に調整します。
●剛性の最適化:ポンプ シャフトは高強度合金 (例: 42CrMo) で作られており、有限要素解析 (FEA) によってたわみ限界 (通常 ≤ 0.1 mm/m) が検証されます。
4. エンジニアリングケーススタディと計算検証
例:化学多段垂直タービンポンプ(6段、全揚程300m、流量200m³/h):
● 軸力計算:
o 初期設計(片吸込羽根車):F=K⋅ρ⋅g⋅Q2⋅H(K=1.2−1.5)、結果は1.8×106N。
o 両吸込インペラに変更し、バランス穴を追加した後:軸力が 5×105N に減少し、API 610 規格(定格出力トルクの 1.5 倍以下)を満たします。
● ラジアル荷重シミュレーション:
o ANSYS Fluent CFD により、最適化されていないインペラで局所的な圧力ピーク (最大 12 kN/m²) が明らかになりました。ガイドベーンの導入により、ピークが 40% 減少し、ベアリングの温度上昇が 15°C 減少しました。
5. 主要な設計基準と考慮事項
● 軸力制限: 通常、ポンプシャフトの引張強度の 30% 以下、スラストベアリング温度は 70°C 以下。
● インペラクリアランス制御:0.2~0.5mmに維持(小さすぎると摩擦が発生し、大きすぎると漏れが発生します)。
● 動的テスト: フルスピードバランステスト (G2.5 グレード) により、試運転前にシステムの安定性が確保されます。
まとめ
多段垂直タービンポンプの軸方向荷重と半径方向荷重のバランスをとることは、流体力学、機械設計、材料科学を含む複雑なシステムエンジニアリングの課題です。インペラの形状を最適化し、バランス調整装置を統合し、精密な製造プロセスにより、ポンプの信頼性と寿命が大幅に向上します。AI 駆動の数値シミュレーションと積層造形の今後の進歩により、パーソナライズされたインペラ設計と動的荷重の最適化がさらに可能になります。
注意: 特定の用途 (流体の特性、速度、温度など) 向けにカスタマイズされた設計は、API や ISO などの国際規格に準拠する必要があります。